ライフスタイルは変化し続ける。例えば、夫婦で始まった家庭に、一人、二人と家族が増えていく。そして、月日が流れる中で、子どもたちが巣立った後は再び、二人の生活が始まる。その舞台となる住宅を、暮らし方に合わせ、リノベーションするオーナーが増えている。

　ラクラスが手がけたＩ邸もそのひとつ。60代のご夫婦は、子どもたちが就職などで親元を離れたのをきっかけに、築30年以上がたった自宅をフルリノベーションした。新しく生まれ変わった住まいは、米スギを配したモダンな雰囲気の外観で、銅板で制作したアート作品が印象的な玄関を開けると、そこには二人がこれからを快適に過ごすための空間が広がっている。

　中心となる吹き抜けとなったＬＤＫは自然光が降り注ぎ、無垢材の床や白いクロスが明るい雰囲気をつくり出している。そんな空間に見合ったホワイトアッシュの腰板が映えるアイランドキッチンは奥様のお気に入り。かつては調理場が壁に面し、閉鎖的に感じていたそうだが、今はＬＤＫを見渡せる位置にあり、家族の弾む会話まで聞こえてきそうなしつらえとなっている。

　さらに、ＬＤＫの一角には薪ストーブを新たに設置した。アクリルとメープルをストライプ状に組み合わせたイタリア製パネルで間仕切ることができ、ゆらめく炎を眺めながらゆったりと自分だけの時間を過ごすことができる。

将来を誓い合った若い二人は南の島のリゾートへ。子どもが産まれてからはにぎやかなテーマパークで一緒に遊ぶ。そして、育児がひと段落した後は文化の薫る街をぶらりと巡る。人生を歩んでいく中で、”旅“の目的地はどんどん変わっていく。同じように、家族構成や趣向の変化に合わせ、くらし方ももっと自由に楽しめたらいい。

　モデルハウス「KIRI VILLA」は、そんな思いをコンセプトに、内灘町西荒屋にオープンした。吹き抜けの大空間に、プライベートを確保した庭や居住スペースから独立した趣味室など、あくまでもシンプルなデザインで統一しており、住む人によって多種多様なくらし方をイメージできる。

　モデルハウス「KIRI VILLA」を通して、皆さんは人生のどんな旅のワンシーンを思い描くだろうか。20代のカップルも、シニアのご夫婦も、幅広い世代にご覧いただき、これからを見据えたくらし方をぜひ想像してほしい。

詳細は「桐工房 スペシャルレポート」にて公開中

　家づくりは、多くの人にとって一世一代の大イベント。理想の家の実現のために、頼りになるのはビルダーだが、実際に現場で施工する大工の存在も大きい。建築工房正勝は、自社大工が在籍することでも知られるビルダー。その自社大工もベテランから若手、そして建築士の資格を持つ者まで幅広い。I邸は、そんな自社大工が自宅として建てた住まいだ。

　ホワイトと玄関まわりのブラックが目を引く外観は、縦、横、斜めの直線のみで構成されたスタイリッシュな佇まい。雨樋も正面から見えないように配置するなど直線の美しさを感じる。一転して、室内に入れば、そこは曲線が美しい空間。建築用語では曲線や曲面のことを”R（アール）“と表現するが、そのアールを効果的に使って構成されている。

　一番のメインと考えた玄関は、扉を開けると吹き抜けの天井まで伸びるアールの壁がやさしくお出迎え。そのブラウンの落ち着いた色合いと左官特有の筋目の温もりあふれる風合いも心地よく、さらに下から灯すスポットライトがボトルツリーの影を天井に照らし、日々、見上げるのも楽しい。曲線に沿うように、右へと足を進めれば、LDK空間へ。そこもソファーや寝室の白壁、段差天井など曲線が映える空間。１階は、どこにいても曲線が放つやさしい空気感に包まれ、誰かに守られているような安らぎを感じさせてくれる。

マイホームについて想いを巡らせるとき、往々にして間取りや設備に意識が向きがちだ。しかし、家づくりの基本は土地にある。方角、形状、周辺環境などの条件が間取りに大きな影響を与えるからだ。現実には想いがすべてかなうパーフェクトな土地などそうはない。そんなとき頼りになるのがビルダーであり、設計士だ。少し気になる条件も土地の個性として生かすことができれば、家の快適さや満足度はおのずと高いものとなる。

　かつて祖父が暮らした土地に新築したH邸は、土地を知ることから始め理想をかなえた好例だ。「狭くても広く感じられる」「カーテンなしで暮らせる」「すっきり空間を保てる」「メンテナンスしやすい」といった要望とともに住宅密集地にある約32坪を託したのはハンズスタイル。季節によって変わる日当たりや風通り、人や車の往来といった周辺環境までしっかり調べたうえでの提案は、プライバシーは守りながらも開放感のある2階リビングの家だった。

　1階にはウォークインクローゼット付き主寝室とご主人の趣味部屋、2階にはアイランドキッチンを備えたリビングとテラス、上層部には子ども部屋としてロフトを配置。収納もあらゆるスペースを有効活用して造作しており、敷地面積以上の広さを感じさせる。

　黒をベースに、アクセントに米スギを模したサイディング。スタイリッシュさの中にやさしさを感じさせる外観が既に物語っている。Ｆ邸はご夫婦のセンスや想いを、設計・施工を手がけたク・アートがカタチにした住まいだ。「細かなわがままもたくさんお願いしたと思います。にもかかわらず、1回も『できない』とは言われませんでした。とことん対応していただき、家づくりが本当に楽しかったですね」。こう口をそろえるご夫婦は、理想がかなったからこそ、「新生活はストレスフリー」だという。

　そんなFさんご夫婦の幸せが詰まった新居の扉を開けてみよう。そこにはまず、造り付けの木製ベンチを配した広々とした玄関スペースが設計されている。スニーカーやブーツなど靴好きというご夫婦の要望に応える大きなシューズクロークを備え、自転車や冬用タイヤなどを置いても十分な広さ。これらプライベートスペースは扉やスクリーンですぐに隠すことができ、生活感を感じさせない工夫も凝らしている。

　家族が集まるＬＤＫは白を基調とし、リビングの床は無垢のパイン材、天井は梁材が見えるデザインに。リビングに続く一間も使い勝手がいい。引き戸を開ければＬＤＫと一体的に利用でき、閉めればご家族や友達が訪れた際のゲストルームなどとして使うことができる。お子様が産まれたら、プレイルームとしておもちゃを並べてもいいだろう。ナチュラルな雰囲気が包み込むシンプルな空間は、暮らしにゆとりを与える心地よさに満ちている。

すみずみまで暖かいワンフロアの住まい

　住まいにおいて”木“がもたらしてくれる効果。それは、ぬくもり、癒し、安心感などさまざまな言葉で形容されるが、住宅街の一画にある平屋建てのS邸は、
”木“の利点を多く備え、なかでも杉の良さを最大限活かした家。長年、地元で大工・建築士として仕事し、今年、独立した木の彩（きのいろ）代表であるSさんが建てたコンセプトハウスとなる自邸だ。

　その家に一歩足を踏み入れると、目に飛び込んでくるのは、奥のリビングまで一直線につながる杉の無垢フローリングと天井。「杉は、視覚的にぬくもりを感じるというだけでなく、肌の熱を奪いにくい。素足で踏んだとき、足の感覚がヒヤッとならないのが特徴で真冬でもスリッパなしで過ごしています。また木材のなかでも柔らかく、ペットが走っても足が滑りません。化学物質を含まない素材は、ごろんと寝ころぶ暮らしにもおすすめです」と話す代表のSさん。針葉樹である杉は、表面は傷つきやすいが、Sさんはこの特徴こそ杉のおもしろさだと捉えている。経年変化によって増す色つや、生活しているうちにつく小さな傷は、家族の思い出、家の歴史として刻まれるものと考えているそうだ。

　そして、杉のぬくもりだけでなく、ワンフロアの回遊動線とすることで、リビング扉を開放すれば、薪ストーブの輻射熱が廊下を通して各部屋にじんわり届き、どこにいても暖かく過ごせ、また個室にいても各々の気配を自然と感じられる間取りとなっている。

　いい家は、施主とビルダーのいい連携によって生まれるもの。それを再認識させてくれるI邸は、奥様が営むプライベートサロンを併設した住宅だ。奥行きのある敷地を生かし、通りに面して来客専用のエントランスとサロンスペースを配し、その奥をプライベート空間とすることで生活感どころか住まいがあることさえ感じさせない、まるで一軒家サロンのような雰囲気を演出している。手がけたのは、デザイン・設計から施工まで社内一貫体制で十人十色の家づくりを得意とするディレクト。ご主人がＳＮＳで目にしたシンプルでスタイリッシュな雰囲気に惹かれ、店舗併用住宅についてもさまざまな業種の実績があったことから足を運んだのが出会いだった。

　当初から「何もかも自分たちでというよりは、お願いできることは任せたい」と考えていたご夫婦。初回の打合せから同席した設計士がおふたりの理想や好みを理解し、間取りや色合いはもちろん、設備や照明についても相談にのり、さまざまな提案をしてくれたことが本当に心強かったという。店舗についても知識が豊富で、奥様の要望を居心地やメンテナンスのしやすさ、スタッフの動線といったあらゆる視点から検証。足湯やパウダースペース、スタッフルームが効率よく配されたサロンは、約８帖というコンパクトさを感じさせないゆとりがあり、お客様からもリラックスできると好評を得ている。

　南加賀を中心に、地元密着の建設会社として長年親しまれてきた大同建設がこれからの住宅建築の柱として立ち上げたSONOBIは、「素材の美」という言葉から造った新ブランド。素（自分らしさ）の美しさに還れる場所（家）を提案したいと誕生させた。その第一弾として公開されたT邸は代表の自邸。35年前に、一級建築士であるお父様が建てた家屋を耐震や断熱、防音など現代技術を取り入れて改修しただけでなく、代表自身がこれまで培ってきた知識、技術、想い、そして挑戦などすべてが込められている。

　ブランドコンセプトの象徴といえるのがLDK空間だ。リビングの椅子に腰かければ、目の前に広がるのは、四季折々の中庭の景観。朝、昼、夜と移ろいゆく光がやわらかく室内に差し込み、聚楽壁やケヤキの木柱、また天然石の床など素材を引き立たせ、その陰影の美しさにも心が揺さぶられる。

　代表のTさんは、「素材の美」を引き出せるのは、その素材を知り尽くした職人だけだと語る。「これまで祖父から父、私へと建築会社を継いできましたが、高度経済成長もあり大工、畳屋、建具屋さんなどの職人仕事が規格ありきの工業製品に取って代わっていく時代を見てきました。住まいは、土地や風土にも精通した職人がその家、その場所に合わせて作ることが至極当然と考えています。土地も素材、すべての素材が光るように設計・施工しています」との言葉通り、T邸は、細部まで職人による手仕事が光る。