− 店舗兼用住宅 −「オンとオフ。暮らしにスイッチを」ライトグレーの外観が美しいサロンアンティーク家具が彩る癒しの空間 hair salon Eimmy - 樋爪住宅研究所

オンとオフ。暮らしにスイッチを

ライトグレーの外観が美しいサロンアンティーク家具が彩る癒しの空間

　プライベートな時間を大切にしながら、仕事にも全力で熱意を傾ける。そんな理想の”職住一体“を実現する店舗併用住宅の上手な実践例が、金沢市田上本町のヘアサロン「Ｅｉｍｍｙ」だ。ライトグレーの外壁が周囲の街並みにしっくりとなじむプライベートサロンは、２階部分の突き出した居住スペースに寄り添うようにたっている。

壁や目隠しコーナーなどは、大工のご主人と一緒にオーナー自ら塗って仕上げた。

カットスペースは天井を高くし、明るく開放的に。シャンプースペースは天井高を抑え、落ち着いた照明となっている。

　オーダーメイドの木製ドアを開けると、店内には、フランス製のシャンデリアやベルギーから取り寄せたキャビネットなど、オーナーのＳさんが選んだアンティーク家具がセンスよく並ぶ。天井高や照明を変えたり、グレーの塗り壁にしたりするなど、初めて訪れた人もやすらぎを感じる、落ち着いた空間づくりのアイデアが随所に盛り込まれたサロンだ。

オーダーメイドでしつらえた木製ドア。

アンティークの家具が素敵な空間を演出している。

　「私自身、サロンに一歩足を踏み入れると、仕事のスイッチが入ります」と話すＳさん。

　さらに、ご夫婦と２人のお子さんと暮らす居住スペースの設計も、オンとオフを切り替えるためのひと工夫が施されている。２階にリビングや浴室、ランドリールームをまとめ、仕事と暮らしの領域を上下左右ともに隣接させず、離してレイアウトしたことで、生活音がサロンに届きにくく、接客に集中しやすい環境をつくり出している。

大黒柱が支えるプライベート空間

中心にそびえる大黒柱が印象的なS邸。金沢市の山手にあり、周囲の緑が暮らしにやすらぎを与えてくれる。

天井には照明は付けず、梁の上に目立たないようにLED照明を設置。

　一方、夕方に仕事を終え、居住スペースの２階リビングに上がれば、ここから朝までは家族だけのプライベートな時間だ。Ｓ邸は１階から天井まで国産ヒノキの大黒柱が中心にそびえ、そこから四方に配した隅木や梁などの骨格がむき出しとなった木の温もりに包まれた住まい。２階リビングは、道路を行き交う車や歩行者を気にせずにゆったりと過ごせるのが魅力だ。加えて、隣家の屋根が見えない高さに窓を取り付け、「周囲に広がる緑を眺めている時間も好きですよ」と、Ｓさんは暮らしやすさに満足そうな笑顔を浮かべる。

　Ｓさんが店舗併用住宅に考えを巡らせたのは、２人目のお子さんの誕生がきっかけだった。「子育てしながら、好きな仕事も精一杯、頑張りたい。

以前から独立も視野に入れていたので、いいタイミングだと思いました」とＳさん。そこで、大工として働くご主人が仕事で関わっていた樋爪住宅研究所に、店舗併用住宅の相談を持ち掛けた。生活面だけでなく、サロンとして営業に適した立地を求めるなど、土地探しから始め、ビルダーと連携しながらご夫婦の想いを設計に落とし込んでいった。

　そして、２０２０年10月に入居し、サロンもオープンから間もなく３年を迎える。「おかげさまで、ご近所の方はもちろん、能登や県外から足を運んでくれるお客様も増えています」と語るＳさん。”仕事と暮らし“、表情には、その充実ぶりがはっきりと表れていた。