− 店舗兼用住宅 −「サロンと自宅。三角形はふたつ」空間デザインと照明計画で"非日常"を演出 asita - ディレクト

サロンと自宅。三角形はふたつ

空間デザインと照明計画で”非日常”を演出

　白山市の、とある住宅地。角地をとらえた航空写真が面白い。正方形の敷地に、長辺を向かい合わせるようにサイズの異なる三角形がたっている。ふたつ並んだ建物の正体を明かせば、小さい三角がプライベートサロン「ａｓｉｔａ」、大きい三角がご夫婦と二人のお子さんが暮らすＩさんご一家の居住空間だ。サロンを営む美容師の奥さまが、２年ほど前に開業するのに合わせ、ディレクトが設計・施工を手がけ、店舗併用住宅を新築した。

店舗併用住宅となり、お子さんと過ごす時間は確実に増えたという。

モデュレックスの照明が落ち着いた空間を演出する。

　サロンは完全予約制で、お客様がゆったりと過ごせる空間づくりを徹底。くすみピンクのクロスで彩られ、カットスペースとシャンプースペースを隔てるラインはゆるやかなカーブを描くアーチ開口となっている。サロンで使うワゴンやテーブルをディレクトが造作するなど、アイテム一つひとつにも個性が光る。さらに、照明にはラグジュアリーホテルなどで使われるモデュレックスを採用した。

　「お客様にはオリジナルのハーブティーも楽しんでいただいています。
”非日常“の空間で癒やされ、明日への活力にしてほしい」

　こう語るＩさんにとっても、サロンのまとう空気感は大切。足を踏み入れると、仕事モードへとスイッチが瞬時に切り替わるという。

チェアなど家具もハイセンスなアイテムを採用。

さりげなく飾られた生花が空間に彩りを添える。

使う商材一つひとつも、サロンのコンセプトに合わせたものを使用。

サロン(写真左側)と居住空間(右側)はバックヤードでつながっている。

2 階リビングでよりプライベートな空間に

　大きい三角ものぞいてみよう。サロンとバックヤードでつながった居住スペースは、１階に子ども部屋や寝室をレイアウトし、２階を家族が集まるリビングとした。「明るく開放的な空間にしたかった」とご主人が話すように、一面の大開口からは自然光が降り注ぐ。そこに配したステンレス製のキッチンも印象的で、食卓を囲んだり、お絵描きやアニメを楽しんだりと、にぎやかな子どもたちの笑い声が響く、家族団らんのシーンが浮かんでくる。

向かい合った建物の間を駐車スペースとし、自家用車がサロンの来客者からは見えにくくなっている。

　「店舗併用住宅となったことで通勤がなくなり、時間の調整がしやすくなりました。小学校やこども園から帰ってきた娘とのふれあいが増えたのがうれしいですね」と奥さま。ご夫婦ともに暮らしぶりは「100点満点」と口をそろえるＩ邸は、店舗と住宅をつなぐスペースの上部がベランダになっているのも特徴の一つだ。お子さんがまだ小さいことから今はまだあまり活用していないが、将来的には「ここでバーベキューをしてもいいかも」とのこと。これからもオンとオフをうまく切り替えながら、笑顔に彩られた思い出は、”日常“の中でいくつも紡がれていく。