どんな立地の住まいでも
窓から望むことができる
美しい景観が必ずある。
郊外であれば緑が溢れる自然の風景
住宅地であっても
青い空と白い雲が見える。
窓を緻密にデザインし
外から中へと流れるように
景色を引き込むことで
住まいは閉じない建築となり
私たちの暮らしを豊かにしてくれる。
遠くの山並み、澄んだ川の流れ
遥か彼方の地平線、四季の草木。
石川県で見つけた
じつに調和のとれた
窓と景色を紹介したい。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 1
春景色の窓
キャロットホーム 駒沢建工
春景色の窓
窓いっぱいに広がる桜。一年のうち十日間だけの特別な春景色。
川沿いの桜並木をフォーカルポイントとして設計された窓は、この美景をリビングや書斎から堪能するためにあると言っても過言ではない。
初夏の新緑、秋の紅葉、葉の落ちた枝に積もる雪、窓から見える四季のうつろいも、多忙な立場にあるという家主にそっと寄り添ってくれる。
ふと想いにふける時、目に映る景色が心に思いがけず変化を与えてくれる。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 2
暮らしと風景をつなぐ窓
LINX株式会社
長く暮らしても飽きない景色がある
東山の住まいを、心地よい風景はそのままに、川のせせらぎと鳥のさえずりも感じられるようにと、建て替えの依頼があった。
すぐそばを流れる浅野川、長年庭にある陽光桜。窓の高さに合わせて設計した羽目板の天井が、その風景を美しく切り取り、対岸まで視線が抜ける。そして中と外を緩やかに繋げる縁側が、情緒ある東山の魅力を演出する。
望んだ景色が、今日も暮らしに彩りを添える。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 3
竹林の空気を感じる窓
竹中建設
人は、庭に植栽をしたり、自然の景観を切り取ることで、緑を居住空間にうまく取り入れ、楽しんできた。
まさに立地を生かしたこの住まいは、家族が集う憩いの場に竹林の風景を存分に取り込むため、リビングを2階にして大きい窓をしつらえた。
中央の階段奥にも窓が設けてあり、竹林の爽やかな空気を外にいるかのように感じることができる。
白い内装に、竹林の緑が清々しく映える窓が、暮らしの快適性をより高めてくれる。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 4
四季を友とする窓
樋爪住宅研究所
住まいは、その人の人生の器である。人は生を受け、成長し、そして老いていく。高齢化の世、老いの時間は長い。器はその時どうあるべきか。
長年の問いに対する答えのひとつが「四時(四季)を友とす」(松尾芭蕉、笈の小文)だった。
短い砂浜と小高い丘から海が庭のように見渡せる土地に、建築士としての自邸をかたちにした。
時に穏やかに、時に荒れ狂う海が一望できる窓。そこで海と語らい、四季のうつろいを友とし暮らす。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 5
オーシャンビューを生かす大開口窓
ディレクト
海が一望できるロケーションに建つ住まい。その2階リビングの壁一面にしつらえた大開口窓。
内からの開放感を確保しつつ、外からの視線を遮りいかにプライベートを守るか。現地に何度も足を運び、最適な方角、位置、高さ、エクステリアとのバランスを意識して設計された窓。
夕暮れ時にベランダから眺めるオレンジ色の水平線。潮のかおりと波の音。五感のすべてで感じられる景色が、一日の労をねぎらい、明日への活力を与えてくれる。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 6
ライフスタイルの一体感を演出する窓
スイベル
「火が暮らしの中に自然とある」
十数年にわたる薪ストーブ愛好家の想いは、住まいの中心に薪ストーブを据えることで実現した。
窓から見える圧巻の薪棚は、外からの視線を遮りつつも、空と木々を見せてくれる。
庭と薪棚、緑と風、それらを中へ導くために設計された大開口の窓。そしてネクター社の薪ストーブ。すべてが合致することで、モダンであたたかな雰囲気や、自然素材を生かした北欧のような空間が生まれる。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 7
自然の中で生きる窓
HANDS STYLE
一面に広がる田園、遠くに望む白山麓。のどかなこの景観を、2階リビングから眺めることができる住まい。
自然を肌で感じる暮らしがしたい。子どもがのびのびと育つ住まいにしたい。家主のその願いは、開放的な大きな窓が叶えてくれた。
初夏は緑色の苗が鮮やかに育ち、秋には黄金色の稲となる。冬は雪が降れば見渡す限り白銀の世界。季節が変わるごとに刻々と表情を変える風景と住まいをつなぐ窓。
自然と共生し、人の心は豊かさで満たされてゆく。
癒やしの借景窓
外と中をつなぐ閉じない建築
Window. 8
里山の息づかいを取り込む窓
KUMU工務店
家主はこの場所に住まいを構え、棚田の季節の移ろいを感じられる暮らしを望んだ。里山の風景は心にやすらぎをもたらしてくれる。
なかでも、山々が鮮やかに色づく秋から、一面が雪に覆われる冬にかけての景色が気に入っている。
土間の段差に腰かけて、薪ストーブの炎のゆらめきと、遠景の棚田を窓から眺める豊かで贅沢な時間。
四季折り折りの里山の息づかいを感じながら、ゆったりと日々の暮らしが紡がれていく。