住まいの提案、石川。

vol.9 住まいの提案石川

食と空間 File.3

食と空間 File.3

湯涌の風土に溶け込み、ゆっくりと時を刻む

緑豊かでどこか懐かしい湯涌温泉の小さなメイン通りにひっそりと佇む「カフェ レンテ」。可愛いカタツムリのイラスト入りの看板が出迎えてくれる。レンテという店名はヨーロッパで古くから用いられている格言であるラテン語の「Festina Lente」(ゆっくり急げ)から、ゆっくりと寛いで欲しいという想いからつけられたのだそう。

カタツムリのイラストが印象的なロゴは教員時代の生徒さんの作品。
山あいの小さな温泉街の風情をもつ通りに、どこかノスタルジーを感じさせる佇まい。

元々教員をしていたご夫婦が、お子様の成長を機に自分たちの「これから」をどのように過ごすかを考えていたところ、偶然訪れた湯涌の土地に魅かれ、この地にお店を開くことを決意された。30年来の友人でもあり、絶大の信頼を置いている建築士 谷重義行氏に設計を依頼。湯涌の景観の魅力を最大限に活かし、店名の通りゆっくりとくつろげるお店が完成した。

通りに面した席は窓の高さを低くすることで、外からの視線をゆるやかに遮る。
照明をダウンライトとフロアスタンドだけに抑えたことで、天井に変則的な陰影をつくっている。
大きな窓からは自然の美しい風景を堪能できる。
越前の和紙を使った天井を支える八角形の柱が、時間とともに表情豊かな影をつくる。
仲間たちと一緒に時間をかけて塗った、凹凸をつけた珪藻土の壁。

可愛いドアを開くと迎えてくれるのは、外観からの想像を心地よく裏切る変則的で開放的な空間と、天井までの大きな窓。晴れた日には心地よい風を感じられるような木漏れ陽。雨の日にはキラキラときらめく雨粒。雪の日には逞しい自然の強さ。四季折々に、空間そのものがこの地の風土に溶け込みゆっくりとした時間を刻んでいる。

好きなことを楽しみながら、ゆっくりと過ごしたいというご夫婦の想いが溢れるお店。

どこか不思議な空間に感じられるのは、一番良い景観を取り入れるために、街並みに対して東側に20度ほど傾けて、内部が設計されているから。屋根と外壁は街並みに沿って建っているため、壁や天井に変則的な形が生まれている。ご主人の好きなジャズを楽しめるよう、音の反響にも考慮して生まれたアイデアだ。店内には楽器を演奏できるスペースも設けられており、定期的にジャズセッションも開催している。

ご主人の趣味である音楽を楽しめるスペースも。定期的にジャズセッションを催している。
店内の家具の大半はご主人が木工職人から学び自ら製作した。

店内にある木のぬくもりを感じさせる家具は、開業するにあたってご主人がご友人の木工職人さんに教えて貰いながら自ら作った物。お店をオープンしてからも、休日などの時間を使って制作を続け、今では店内に置かれている家具の大半がご主人による作品。

自家焙煎の珈琲は店内で豆を挽きご主人がドリップ。ご夫婦で丁寧に手作りされた旬のスイーツたち。極上の空間でゆっくりとした時間と共に味わいたい。

軽食メニューのひとつ「かぼちゃのカレーグラタン」。スパイシーな香りがコーヒーの味わいを引き立たせる。
自家製のスイーツ。季節により旬の食材を使う。
アイスコーヒーやアイスカフェオレにも、ご主人自ら焙煎した豆をドリップしたコーヒーを使っている。

オーナーの東さんご夫婦。お二人の優しい人柄があふれるお店。湯涌散策の合間に憩いの時間を。

Cafe Lente
金沢市湯涌町イ17-3 tel 080-3048-3732
営業時間 10:00〜17:00 定休日 火曜・水曜・木曜

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