実例集 「暮らすほどに愛着が高まる中庭を中心としたロの字型の家」樋爪住宅研究所
降り注ぐ自然光が気持ちいいプライベートな屋外空間
吹き付け塗装を施した白壁が、シンプルでありながら、やわらかな印象を与えるN邸。樋爪住宅研究所が設計・施工を担当した住まいのポイントは、正面から見るよりも鳥の目になった方が分かりやすい。上からのぞくと、中庭をぐるりと囲んで、ロの字型に住空間がレイアウトされているのだ。
暮らしの中心となるLDKはL字型で、さらにリビングの一部は吹き抜けに。中庭を通って1階・2階それぞれの窓から自然光が降り注ぎ、明るく開放的な雰囲気に満ちている。四方を囲まれた中庭は通りや隣家から見えないプライベートな屋外空間で、人目を気にせずにくつろげる憩いのスポットだ。「どうしようか話し合い、自分たちで少しずつ手を加えています」とご主人。入居後に人工芝を敷き、DIYでウッドデッキを作ったそうで、楽しみながらアップデートを重ねている。普段は風呂上がりに涼む”ととのいスペース〝や家庭菜園として使っており、今年のゴールデンウィークには友人たちとのBBQで盛り上がったという。 いろいろなシーンで活躍する中庭だが、家づくりを始めたときからロの字型の設計が浮かんでいたわけではない。「コの字型や平屋も考えました。しかし、風の強い地域であり、敷地に砂がたまりやすくなるなどの問題が予想されました。そこで風の影響を抑えながら、屋外の快適さも得られる設計を樋爪住宅研究所が提案してくれたんです」。ご夫婦はこう話し、「暮らしぶりは百点満点」と笑顔で教えてくれた。
仕事や趣味を考えたアイディアもぎっしり
N邸は店舗併用住宅で、助産師の奥様が1階の和室を利用して「まんげつ助産院」を営んでいる。「入居したときは考えていませんでしたが、樋爪さんと相談し、将来的な開院を見据え、和室に洗面をつくり、畳は防水にしました」。奥様がこう話すように、N邸にはご夫婦のこれからの暮らし方を考えたポイントがいくつも散りばめられている。
その一つが玄関で、玄関ドアを開けて右側に進むとLDK、左側は助産院となっており、生活空間と職場が交わらないよう工夫している。加えて、目隠しとなる壁の裏側にガレージとつながる勝手口があり、広めのシューズクロークを設計。ガレージは農業を手がけるご主人が農機具や野菜を保管するワークペースで、来院者がいても勝手口を使って出入りし、気兼ねすることなく作業着や長靴を着脱しやすい。
また、ダイニングの壁一面は収納棚を造作し、ご夫婦の仕事関連の書籍やご主人が趣味で集めたカメラが並んでいる。デスクコーナーもしつらえてあり、お互いに事務作業をするのに重宝しているという。将来的には子ども部屋として使う予定の1室も今は、ご主人がプロ仕様のミシンを使って本格的に取り組む革靴制作の作業場となっている。
仕事もプライベートも、N邸にはお二人を後押しする空間が満載だ。「2階にあるフリースペースで、ゆくゆくは妊婦さんや親子を対象にしたワークショップを開きたい」(奥様)、「敷地の一角を使って、農業にふれられる企画ができないかな」(ご主人)。暮らすほどに愛着が高まる住まいを中心に、未来に向かって想いは膨らんでいる。
DATA
敷地面積 472.35㎡ (142.88坪) 1階床面積 102.68㎡ (31.06坪)
延床面積 161.47㎡ (48.84坪) 2階床面積 58.79㎡ (17.78坪)
◎工法/在来木造◎基礎/ベタ基礎◎断熱材/セルロースファイバー◎屋根材/ガルバリウム鋼板◎外壁材/防火サイディング+弾性リシン吹付◎内装材/壁紙◎床材/無垢材(ブラックチェリー)一部UNI◎開口部/樹脂サッシ(YKK AP)◎キッチン/クリナップ◎バスルーム/クリナップ◎竣工年月/2020年8月◎工期/約6ヶ月◎家族構成/ご夫婦
樋爪住宅研究所
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