住まいの提案、石川。

vol.9 住まいの提案石川

「戸井 建一郎」建築家が語る、住まいづくりの視点

「戸井 建一郎」建築家が語る、住まいづくりの視点

ニュートラルな思想がつくるモダンスタイルの家

住む人の豊かな感情を生み出すデザインを提案

トイットデザインが得意とするのはモダンスタイル。クライアントの想いを解釈し、デザインと機能性や住心地を両立させて、具現化することが建築デザイナーとしての仕事だと考えています。


内灘町の白帆台に建つ住宅。北西側沿岸部に防風林がなく、高台から180°のオーシャンビューを 見渡せる立地環境を生かした開放的な2階LDKが印象的。幅13.5m、高さ3.3mの大開口を設け、 日本海の美しい自然と対峙する空間を構成。

住心地というと便利な設備、住宅性能、快適な住空間などがありますが、それは当然のこと。僕はそれにプラスして、家には住む人をワクワクさせるような感情を生み出すデザインが必要だと考えています。例えて言うとそれはレストランで美味しいものを食べた時の幸せな気分、アートや家具に出会った時のときめき、好きな洋服を着て街に出かけた時の高揚感などに近いものかもしれません。人間の五感が刺激を受けて、神経を伝達して心に伝わり、感情を乗せていくような感性的な部分を大事にしたいのです。そういった感情を生み出す空間や気持ちの良い空間に包まれることで、住む人の心も豊かになるのではないかと考えています。


プライベートテラスがリビングとシームレスにつながるリゾートホテルのような家。
施主の要望だった螺旋階段がモダンスタイルに溶け込んでいる。

対話の中でヒントを探り、デザインで答えを具現化

 僕にとって建築デザインの仕事は、クライアントとの対話で作り上げていくプロセスが魅力。特に家は、人や人の暮らしと密接に関わるもの。さまざまな人の思考に対して思索を重ね、デザインで答えを出していくことが住宅設計の面白さだと感じています。時には難しいオーダーもありますが、対話の中でその真意を汲み取ることができれば、クライアントの理想とする生活スタイルが見えてきます。それを僕なりに解釈して、デザインとして提案します。

僕自身、クライアントからのオーダーによって固定観念から離れてトライすることができ、新しい発見や新しいかたちに反映できるプロセスを楽しんでいます。それまで自分にはなかった雰囲気のものにジャンプアップして、想像もつかない世界で結果を出す面白さを感じています。

隣地にある樹齢を重ねた巨木が入り込むというネガティブな敷地条件を
ポジティブにとらえ、2階の生活空間に自然と融合する景観を生み出した。

自分の頭の中だけで考えていても生まれるアイデアは限られています。でも、クライアントの要望によって僕の中に異質なものが入ると違う回路が生まれます。いろいろな考え方に触れることで、発想や選択肢が広がります。ですから、とにかく何でも話していただきたいのです。僕自身がクライアントのオーダーとの化学反応を楽しんでいますから。

ジョージ・ネルソンの「サンバーストクロック」が好きな施主のイマジネーションに呼応し、 壁面を時計のカラーに忠実に合わせた家。施主のイメージと融合して生まれたデザインだ。
木造平屋の家。限られた敷地条件の中で外部からの視線を遮りながらも天井高を高くとり、採光とプライベートテラスを両立した。

もし、真っ白なキャンバスに「好きなものを描いて」と言われたとしても僕には描けません。クライアントの要望や個性、住まいに対する夢やイマジネーションが、僕が住宅デザインをするうえでの大切なヒントになっているからです。

KENICHIRO TOI 戸井 建一郎

株式会社 トイットデザイン/代表取締役・一級建築士

【PROFILE】石川県小松市出身。金沢工業大学を卒業後、東京の設計事務所などを経て、1996年石川県にてTOI設計事務所を創業、2004年『株式会社トイットデザイン』として法人化。数多くの住宅や、商業空間、医療施設などの設計・監理を手がけている。洗練されたモダンスタイルに定評があり、2022年には、[第50回いしかわインテリアデザイン賞2022]において、最高位となる【大賞】を受賞。その他、受賞多数。

トイットデザイン
〒921-8044 金沢市米泉町8丁目45番 tel 076-236-2142
www.toitdesign.com

住まいの提案、石川。VOL9 は石川県各店で発売中です(2022年6月18日発売)。Amazonでも販売しています。下記より購入ができます。WEBではご紹介できない住宅建築実例集や家造りの情報が満載です。

住まいの提案、石川。特集記事一覧 特集記事一覧

「戸井 建一郎」建築家が語る、住まいづくりの視点

「戸井 建一郎」建築家が語る、住まいづくりの視点

石川県小松市出身。金沢工業大学を卒業後、東京の設計事務所などを経て、1996年石川県にてTOI設計事務所を創業、2004年『株式会社トイットデザイン』として法人化。数多くの住宅や、商業空間、医療施設などの設計・監理を手がけている。
「谷重 義行」建築家が語る、住まいづくりの視点

「谷重 義行」建築家が語る、住まいづくりの視点

広島県出身。東京の設計事務所を経て、国立石川工業高等専門学校建築学科やケニア共和国の農工大学建築学科にて講師を務めた経歴を持つ。1996年建築像景研究室を設立し、設計活動開始。2001年より『谷重義行建築像景』を主宰
「永井 菜緒」建築家が語る、住まいづくりの視点

「永井 菜緒」建築家が語る、住まいづくりの視点

石川県小松市出身。愛知工業大学卒業後、東京の店舗設計施工会社などを経て、2014年、石川県にて一級建築士事務所SWAY DESIGNを開設。2018年株式会社SWAY DESIGNとして法人化。不動産の有効活用を提案する不動産事業をはじめる。
「小松 雄二」建築家が語る、住まいづくりの視点

「小松 雄二」建築家が語る、住まいづくりの視点

福井県出身。金沢工業大学を卒業後、ゼネコンや大手住宅会社などでの勤務を経て、1992年、石川県金沢市に一級建築士事務所 『でざいん こま』 を開設。日曜大工など物作りが大好きで、家づくりにおいても造作家具や造作建具など細部に活かされている。
食と空間 File.3

食と空間 File.3

緑豊かでどこか懐かしい湯涌温泉の小さなメイン通りにひっそりと佇む「カフェ レンテ」。レンテという店名はヨーロッパで古くから用いられている格言であるラテン語の「Festina Lente」(ゆっくり急げ)から、ゆっくりと寛いで欲しいという想いからつけられたのだそう。
この街で、心地いい暮らし – 内灘町 vol.3号特集記事

この街で、心地いい暮らし – 内灘町 vol.3号特集記事

海に寄り添うように広がる内灘町。シーサイドのロケーションに憧れて、県内外から移住する人が増えています。社会インフラが整ったコンパクトシティならではの魅力について町の移住定住促進担当者に聞きました。
この街で、心地いい暮らし – 津幡町 vol.2号特集記事

この街で、心地いい暮らし – 津幡町 vol.2号特集記事

石川県のほぼ真ん中に位置する津幡町。金沢に隣接する人気のベッドタウンで、近年は若いファミリーの移住者が増えています。町役場のご担当者に「選ばれる理由」をお伺いしました。
食と空間 File.2

食と空間 File.2

パンケーキを中心に珈琲や季節のランチを楽しめる『たまごのゆめ』ではシンプルで落ち着きのある空間に自然光がたっぷり入るたくさんの窓。窓の向こうには静かな町並みと鶴来の山々、シンボルツリーである松の木を眺めることができる。
朝から夜までずっと温もりに包まれる幸せ「桐工房」 vol.08号特集記事

朝から夜までずっと温もりに包まれる幸せ「桐工房」 vol.08号特集記事

桐工房で家を新築し、床下エアコンを採用したMさんご一家は、快適な冬を迎えている。以前住んでいた家では、冬の朝は鼻が冷たくて目が覚めていましたが新しい家の性能に満足している。
冬も明るい 2階リビングの家 「HANDS STYLE」vol.08号特集記事

冬も明るい 2階リビングの家 「HANDS STYLE」vol.08号特集記事

薄っすらと雪化粧した外の景色を眺めながら、家族の時間を楽しむひととき。壁一面に配した窓から、白山麓の景色を室内へと取り込むS邸は、自然を身近に感じる家。家の裏手が市街化調整区域という条件を生かして最大限に開放感のある空間を作り出している。
家族の時間を変える火のある暮らし 「スイベル」vol.08号特集記事

家族の時間を変える火のある暮らし 「スイベル」vol.08号特集記事

薪ストーブから始まる冬の1日 かほく市で注文住宅の設計施工を手掛けるMさんご一家の冬の1日は、薪ストーブの焚き付けから始まる。十数年にわたる薪ストーブユーザーであるMさんご夫婦にと...
食と空間 File.1

食と空間 File.1

食の職人は、食だけにこだわっているか。建築の職人は、建築だけにこだわっているか。あらゆるジャンルにとことんこだわる職人がいる。「食」と「空間」の美、石川の魅力的な店舗を巡る。 OU...